朝倉涼子の真実
「困ったものね……」
(長門さんの話では彼は彼女の話を信じてないみたいね……彼は『鍵』なんとしても彼女の話を彼に信じさせなきゃ)
そこでふと目に入ったのは以前長門さんから借りていた本だった。
『泣いた赤鬼』
(……この方法なら彼女の話を信じてくれるはず。でもそうすると私は……)
「でも、彼女の話を信じてもらえるなら私は……」
『放課後誰もいなくなったら、1年5組の教室に来て』
彼が来たのは陽も沈みかける頃だった。
「遅いよ」
私は彼に話しかけた。
この間に教室に空間情報操作を施す。長門さんが侵入できるようにあえて綻びを持たせて。
彼もそっけない返事を繰り返す。
情報操作が終わった。
「……あなたを殺して涼宮ハルヒの出方をみる」
そういって私は彼にナイフを向け斬り掛けた。
無論殺す気はない。しかしそれを悟られないようにネクタイを切り落とす。ふわりとネクタイの先が床に落ちる。
彼は、しりもちをついてへたり込んだ。
もう一度彼にナイフを向け疾ると彼は教室から出ようとドアへ走った。
でももう教室は私の情報制御下。今あなたを助けられるのは長門さんだけ……
「何者なんだ。お前は」
彼がそう問いかける。私はただにこやかに彼に微笑むだけだった。
そして彼の身体を拘束し止めを刺す刹那……
(……来た!!)
突如として空間が割れ、瓦礫が舞う。その隙間から細く白い腕。その腕は私の刺し出したナイフをがっしりとつかんでいた。
長門さんの腕だ。
「あなたは私のバックアップのはず」
一瞬長門さんは私に『何故?』という目を向けたが私はあくまで表情を変えずにいた。
「やってみる? ここでは私のほうが有利よ。この教室は私の情報制御空間」
(長門さんはキョン君の事が好き……私が本気で彼を殺そうとすれば、彼女も本気で私をDeleteしに来るはず。そうなれば彼はその目撃者となり長門さんの話を信じるはず……)
私と長門さんは空間をゆがめ、氷柱を降らせ、暴風雨のような槍を浴びせる。高度な情報バトルを繰り広げていた。
(さすがは長門さんね……でも……)
戦いは終始私が優勢だった。
(おかしい……長門さんがこんなに弱いはずがない……どうして?)
私はそれでも攻撃の手を休めず、キョン君へも鉄の矢を放った。
(……長門さんなら余裕でレジストできるは……ず……)
(…………ッ!!!!!!)
信じられない光景が目の前にはあった。
床にたたきつけられた眼鏡。
滴る血のしずく。
呆然とするキョン君。
そして、何本もの鉄の矢に串刺しにされた長門さん。
(嘘……あの長門さんがいくら私の有利な空間だからといってこんなあっさり……)
(で、でもここで手を緩めるわけにはいかないわ……頭部さえ破損しなければ大丈夫なはず……!)
そして、私は長門さんの胸部を触手で貫いた……
(……やっぱり、本気でなんてできないよ……)
と、その瞬間
「終わった」
(え……?)
「情報連結解除、開始」
(あ……)
「……侵入する前に崩壊因子を仕込んでおいたのね。どうりで、あなたが弱すぎると思った。あらかじめ攻性情報を使い果たしていたわけね……」
(……本当に……びっくりしたわよ……もう……)
(……でももうこれで終わり。彼も長門さんの話を信じたでしょう……でも心残りがないわけじゃないんだよ? 長門さんと過ごした日々。全然そっけない態度で愛想もなかったけど、あなたといるのは嫌じゃなかったんだよ? できればこれからもずっと一緒に居たかったんだよ? でももうお別れ……だからせめて……お別れの言葉だけ……)
「涼宮さんとお幸せに、」
「じゃあね」
そう残してできる精一杯の笑顔で私は消滅した……
御目汚しすいません
なんかのりで書いてみたSS。
文を作る才能も語を使う才能もストーリーを組み立てる才能も欠如した文ですいません。
で、これだけの駄文を披露しておいてなんですが、これの後日談を後日(ぉぃ書きたいと思います。
でわまた〜